0人が本棚に入れています
本棚に追加
お風呂に入った後、まるで義務的な、医療行為のような性行為をした。彼はどうやら疲れ切っているらしく、いちど事を済ませるとさっさと眠ってしまった。私は置き去りにされた気分で、煙草を手に取った。彼が煙草を好むから、私も吸うようになった。べつに美味しくもまずくもない。ただ彼の模倣をしたかっただけという、なんとも少女じみた動機である。彼は私と会うのが既に面倒になってきているのではないか。2時間半かけてヨコハマへ来て、2時間も待ちぼうけを食らって、その上邪険に扱われる始末だ。彼が複数の女性と関係を持っているのは会う前から知っていた。だから仕方がない。仕方がないことなのだけれど、私は彼と結ばれる希望を幾分か持ち続けた。都合の良い女でいいから逢瀬を繰り返したかった。全く愚かな行いであると、自覚はしていた。
最初のコメントを投稿しよう!