【羊を数えて眠ろう】

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「きみはどんなアンドロイドを想像していたんだい? 家事を手伝ってくれるロボットのような存在? 強盗から家を守ってくれるボディガードのような存在? そんなものは家電のほとんどが自動化し、食事だって今では作らなくてもいざとなればどうとでも───店って買ってくるなり、配給会社と契約するなりで、賄える時代だ、むしろ個人の好みの味付けを覚えさせたり、それぞれの家庭が同じ電気家電を使っているわけではない以上、家事をアンドロイドにやらせようとしたらむしろオーダーメイド化が必要になる。そんなハイコストなアンドロイドが普及すると思うかい? ボディガードに関しては言わずもがな。セキュリティ会社がごまんとある昨今、その業界に今から割って入ろうなんて徒労もいいとこだろう」 「それじゃああなた達はなぜ、この時代にわざわざアンドロイドを作ろうと思ったわけ?」 「まさにそれが今回の課題なんだ。だから悪いけどそれはきみには教えられないんだ。言うなればきみも僕達の研究のサンプルに抜擢されているから」 「待って。聞いてないわよ、そんな話。じゃああのアンドロイドはもしかして───」 「うん、このまましばらく一緒に暮らしてもらう。色々騙し討ちなのは悪いと思う。けどこれは僕達のためでもあるんだ。だから、お願いだ。協力して欲しい」 「協力って───」  サリナは直ぐには答えられなかった。
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