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街灯と住宅の電気に照らされた夜道を歩いていた。
今日もいつも通りに仕事を終え、現在は家に向かっている。
今日の晩御飯は何か? 今妻と子供は何して過ごしているか? そんなことを考えながら歩いているうちに家の前まで到着していた。
「ただいま」
玄関の扉を開け、家に入る。
「……あれ?」
いつもなら息子と妻がすぐに出迎えてくれるのだが、今日は二人とも姿を見せない。
そんな状況を怪訝に思いつつ、リビングに向かうと、
「お母さんに僕の気持なんかわからないよ!」
息子がそんな言葉と共に勢いよく飛び出し、僕の存在には気づかないまま二階の自分の部屋へ向かって行った。
「こら、待ちなさい!」
後から追いかけてきた妻が声を掛けるが、息子には届かなかった。
「まったく、あの子ったら……」
嘆息しながらそう呟く妻に背後から僕は声を掛けた。
「どうしたんだ、一体?」
「あら、おかえり」
声を掛けられようやく僕の存在に気づくと、いつも通りな対応をする。
「ただいま。それより何かあったの?」
二人が喧嘩するのは珍しい。二人の間に何があったのか気になり妻に問いかけた。
「実は、さっきまであの子が『おんらいんゲーム』っていうのをやっていたらしいんだけど、それで負け続けたらしいのよ」
その説明で僕は大方の状況が予想できた。
「だから、負けたって楽しく出来ればいいでしょって言ったら、急に飛び出しちゃって……」
「なるほどね」
案の定というか、まさしく予想通り過ぎる展開に苦笑を浮かべてしまった。
「どうすればいいと思う?」
心配そうに問いかける妻。
息子はゲームで負けたのが悔しくてリビングから飛び出していったことを理解してないらしい。もともと、ゲームはやらない人だからオンラインゲームがどういったものかも理解はしていないだろう。
だから、息子の気持ちを理解してやるのは難しいと思う。
僕は一応ゲームはやっていて休日は息子と一緒にやることだってあるから、負けて悔しくなる気持ちはよくわかる。
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