32人が本棚に入れています
本棚に追加
エピローグ
光が消えて、ぼくはあの世に……。
あれ? 生きてる。悪い夢でも見ていたのだろうか。
「ん……」
ナアマさんが横で倒れている。やっぱり夢じゃない。
「やられた……、まさか浄化されてしまうとはね」
は? どういうこと?
「私ね、愛されることになれていないのよ」
何が何だかよくわからないけど、命だけは助かったらしい。そのとき、野太い声が聞こえてきた。
「(ナアマは男に裏切られたショックで死んで、サキュバスになったんだ。その逆の力をかけて浄化するとは、やるではないか)」
見ればあの鳥がこっちを見ている。
「浄化って、命は助かったってこと?」
鳥に聞いてみる。
「(助かったどころの騒ぎではない。ナアマはお主の眷属(けんぞく)になった。お前の言うことならなんでも聞いてくれるぞ)」
いまだ、なにがなんだかよくわからない。偶然というかなんというか……。
「そういうことだからよろしく。で、どうするの? 理々さんに未練があるなら、私が高田とかって男に仕掛けて別れさせてあげるよ。本当になんでもするけど?」
少し投げやりなナアマさんに僕はあらためてお願いする。
「じゃあ……、僕の彼女になってよ」
「そこ、こだわるんだ」
「だって、好きだし」
「バカにはかなわないか……」
「(全くだな)」
「あんたら二人でバカって言うなよ!」
「だってバカじゃない。サキュバス相手にお付き合いしたいなんて。ま、いいか。これからよろしく、優さま」
「優さまってなんか落ち着かないな。ところで僕の前の住人が亡くなったって聞いたけど」
「それならそこにある水晶玉に封じ込めてあるわ。肉体はもう火葬されて無いけどね」
「じゃあ、その魂を解放してあげて、他のも全部」
「変なところで正義の味方なのね。まあ、いいわ」
水晶玉から光がはなたれ、天に消えてゆく。
最初のコメントを投稿しよう!