エピローグ

1/2
前へ
/12ページ
次へ

エピローグ

 光が消えて、ぼくはあの世に……。  あれ? 生きてる。悪い夢でも見ていたのだろうか。 「ん……」  ナアマさんが横で倒れている。やっぱり夢じゃない。 「やられた……、まさか浄化されてしまうとはね」  は? どういうこと? 「私ね、愛されることになれていないのよ」  何が何だかよくわからないけど、命だけは助かったらしい。そのとき、野太い声が聞こえてきた。 「(ナアマは男に裏切られたショックで死んで、サキュバスになったんだ。その逆の力をかけて浄化するとは、やるではないか)」  見ればあの鳥がこっちを見ている。 「浄化って、命は助かったってこと?」  鳥に聞いてみる。 「(助かったどころの騒ぎではない。ナアマはお主の眷属(けんぞく)になった。お前の言うことならなんでも聞いてくれるぞ)」  いまだ、なにがなんだかよくわからない。偶然というかなんというか……。 「そういうことだからよろしく。で、どうするの? 理々さんに未練があるなら、私が高田とかって男に仕掛けて別れさせてあげるよ。本当になんでもするけど?」  少し投げやりなナアマさんに僕はあらためてお願いする。 「じゃあ……、僕の彼女になってよ」 「そこ、こだわるんだ」 「だって、好きだし」 「バカにはかなわないか……」 「(全くだな)」 「あんたら二人でバカって言うなよ!」 「だってバカじゃない。サキュバス相手にお付き合いしたいなんて。ま、いいか。これからよろしく、優さま」 「優さまってなんか落ち着かないな。ところで僕の前の住人が亡くなったって聞いたけど」 「それならそこにある水晶玉に封じ込めてあるわ。肉体はもう火葬されて無いけどね」 「じゃあ、その魂を解放してあげて、他のも全部」 「変なところで正義の味方なのね。まあ、いいわ」  水晶玉から光がはなたれ、天に消えてゆく。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加