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2.チャンス到来!?
この家に決めたのは、東京にしては格安の家賃。なぜならなんでも事故物件らしく、前に住んでいた人が部屋で急死したらしい。
しかし幽霊が出るわけでもなく。しかも黒井さんの隣なら余裕でチャラだ。
それから、たまに黒井さんに会っては会釈する。そんな日が続いていた。
彼女が気になる。彼氏はいるのか? どんな生活をしているのか? ああ、隣との壁がにくい。何故かどんよりと重い空気も感じたが、男を連れて来ている様子は無い。
盗聴器でも仕掛けてみようかと、心の中の悪魔がささやくが、いや、それはやめたほうがいい。
これは千載一遇のチャンス到来かも知れないのだ。下手は打てない。
そうだ、いきなり告白したのが良くなかったのかも。まずは食事から行ってみよう。
翌日、黒井さんと帰りが一緒になった。これはチャンスとばかりに、思い切って彼女を誘ってみることにした。
「あの、よければ今度の日曜日、一緒にご飯でもいかがですか?」
しばらくの間があって、
「かまいませんよ。私でよければ」
「あ、ありがとうございます!」
あの日と違って、満面の笑みで返事をしてくれた。 僕の心はいっきにバラ色になった。これは夢が叶うのかも……
「今週の日曜日でいい?」
「あ、はい」
デートの約束を取り付け、黒井さんは部屋に戻っていった。
あの黒い鳥といっしょに。そういえばいつも一緒にいる気がするけど、あれはなんだろう……?
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