2.チャンス到来!?

1/1
32人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ

2.チャンス到来!?

 この家に決めたのは、東京にしては格安の家賃。なぜならなんでも事故物件らしく、前に住んでいた人が部屋で急死したらしい。  しかし幽霊が出るわけでもなく。しかも黒井さんの隣なら余裕でチャラだ。  それから、たまに黒井さんに会っては会釈する。そんな日が続いていた。  彼女が気になる。彼氏はいるのか? どんな生活をしているのか? ああ、隣との壁がにくい。何故かどんよりと重い空気も感じたが、男を連れて来ている様子は無い。  盗聴器でも仕掛けてみようかと、心の中の悪魔がささやくが、いや、それはやめたほうがいい。  これは千載一遇のチャンス到来かも知れないのだ。下手は打てない。  そうだ、いきなり告白したのが良くなかったのかも。まずは食事から行ってみよう。  翌日、黒井さんと帰りが一緒になった。これはチャンスとばかりに、思い切って彼女を誘ってみることにした。 「あの、よければ今度の日曜日、一緒にご飯でもいかがですか?」  しばらくの間があって、 「かまいませんよ。私でよければ」 「あ、ありがとうございます!」  あの日と違って、満面の笑みで返事をしてくれた。 僕の心はいっきにバラ色になった。これは夢が叶うのかも…… 「今週の日曜日でいい?」 「あ、はい」  デートの約束を取り付け、黒井さんは部屋に戻っていった。  あの黒い鳥といっしょに。そういえばいつも一緒にいる気がするけど、あれはなんだろう……?
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!