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僕も部屋に戻ると、しばらくぼくは何も考えられなかった。夜の9時になろうというのに買ってきたコンビニ弁当さえも手をつけられずにいた。
幸せを祈る。言うのは簡単だがそう簡単には出来ない。とてもつらかった。
なぜか鳥の羽音が聞こえている。そういえば黒井さん、鳥を飼ってるんだろうか……
ところで、黒井さんは地元の大学に行ったはず。その彼女がなぜここにいるのだろう?
なんだかんだでやっぱり黒井さんのことを考えてしまう。その時、今まで晴れていたはずなのに急に大雨が降ってきた。僕はゆっくりと窓を閉めに行く。すると、
♪ぴんぽん
呼び鈴がなった。宅配便だろうかとモニターを見ると、そこにいたのは、なんと黒井さんだった。
「は、はい」
「柿崎くん、聞いてほしいことがあるの。私の部屋に来て……」
突然の来訪と誘いに驚いたが、僕は雷が鳴り響く中、はじめて黒井さんの部屋に入った。
玄関ではあの黒い鳥が、カゴの中でバサバサと音を立てている。
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