5.真相

2/2
前へ
/12ページ
次へ
 こんな時にスマホのバイブが鳴った。画面を見ると高田からだ。いつもの癖で、思わず電話に出てしまった。 「よお、柿崎。実はお前に紹介したい人がいるんだ」 「いきなりなんだ。今、黒井さんといっしょなんだ。手短に頼む」 「黒井さん?? どうした? お前、夢でも見ているのか?」 「は、夢……!?」  夢とはどういうことだ? すると電話の相手が変わった。 「お久しぶり。柿崎くん。今度高田くんと結婚することになりました、黒井理々です」 「な、何ぃぃぃ!?」  相手が再び高田に変わった。 「そういうわけだから、今後もよろしくたのむ。お前が黒井さん好きだってのは知ってたらから、伝えるの迷ってたんだけど……」  あまりのショックに言葉がでない。何がどうなってるんだ? 黒井さんはたしかにここにいるはずだ。 「そんなわけだから、お前もいい彼女見つけろよ」  電話が切れた。正確に言うと切った。アイツは地元にいる。すると黒井さんもそっちにいるはずだ。でもこっちにも黒井さんがいる。いったい何がどうなってるんだ!?  こちらの「理々さん」は、不敵な笑みを浮かべている。 「あら、残念。まさかあちらの動きがそんなに早いとは……」  先ほどまでの態度が一変。おどろおどろしい口調に、僕の身体はガタガタと震え始めた。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加