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こんな時にスマホのバイブが鳴った。画面を見ると高田からだ。いつもの癖で、思わず電話に出てしまった。
「よお、柿崎。実はお前に紹介したい人がいるんだ」
「いきなりなんだ。今、黒井さんといっしょなんだ。手短に頼む」
「黒井さん?? どうした? お前、夢でも見ているのか?」
「は、夢……!?」
夢とはどういうことだ? すると電話の相手が変わった。
「お久しぶり。柿崎くん。今度高田くんと結婚することになりました、黒井理々です」
「な、何ぃぃぃ!?」
相手が再び高田に変わった。
「そういうわけだから、今後もよろしくたのむ。お前が黒井さん好きだってのは知ってたらから、伝えるの迷ってたんだけど……」
あまりのショックに言葉がでない。何がどうなってるんだ? 黒井さんはたしかにここにいるはずだ。
「そんなわけだから、お前もいい彼女見つけろよ」
電話が切れた。正確に言うと切った。アイツは地元にいる。すると黒井さんもそっちにいるはずだ。でもこっちにも黒井さんがいる。いったい何がどうなってるんだ!?
こちらの「理々さん」は、不敵な笑みを浮かべている。
「あら、残念。まさかあちらの動きがそんなに早いとは……」
先ほどまでの態度が一変。おどろおどろしい口調に、僕の身体はガタガタと震え始めた。
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