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「くっそ!」
今朝もあいつに抜かれた。
あいつは音もなく俺の後ろに近づいては、追い抜きざまに風だけをぶつけ、矢のようなスピードで追い抜いていく。派手な配色をほどこしたロードバイク、チネリヴィゴレッリだ。
いつかあいつと並んでやると誓いながら毎朝バッソヴァイパーで通学する俺は、偏差値が極普通の高校に通う二年の坂崎宏人。
家から時速五十キロで十五分も走れば校門に到着する。教員用駐輪場に停められているあの派手なチネリが、俺の担任立川史哉のものだ。
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