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今日も立川に負けたと肩を落としながら教室に入ると、最後列窓側の席から沢村紀花が手を振ってきた。彼女は俺の大事な幼なじみだ。なにせ幼稚園のころから十四年間同じクラスをキープしている俺たちだ。こんな奇跡の幼なじみなど、日本中探してもいないだろう。
紀花の漆黒のショートボブが、開け放たれた窓からの秋の風に揺れている。小さいころから変わらない笑顔が可愛い。
俺が紀花をこんな気持ちで見ていることなど、彼女は知っちゃいないだろう。そんなことは十四年間おくびにも出したことはない。
その笑顔に応えて俺も席に着いた。場所は彼女の斜め前。悪くない。
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