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秋吉王子、通称アッキー王子は悩んでいた。
「誕生パーティーにも、理想の女性はいなかった。私に相応しい姫君は、いつになったら姿を見せてくれるのだろう」
今日はアッキーの二十歳の誕生日。お城で盛大なパーティーが開かれた。
そのパーティーには花嫁探しという裏の目的がある。しかし、お目当ての女性は見つからなかったらしい。
「やはり隣国の、げたんわ姫と結婚するしかないのか……ん?」
怪しい気配を感じて、ベランダへと視線を移した。
……ドレス姿のタコが窓の陰から顔を出している。夢でも見ているのか?
「君は……誰だ?」
「タコデレラです」
「シンデレラでは無いのか?」
「違います。タコのデレラです」
全く意味が分からない。タコのデレラってなんだ? デレラという名前なのか? そして、どうすればいいんだ?
「私と結婚すればよいのです」
心を読まれた!?
「さあ、永遠の愛を誓いましょう。二人の愛を結ぶ、このリングを……」
「やめろ、近づくな! やめてくれ!!!」
必死の抵抗も虚しく、薬指にイカリングを付けられた。
「熱っ! なんだこれは!?」
「私たちの、愛の結晶ですよ。では、また……」
タコデレラは墨を吐きながら去って行く。ある意味ホラーだ。
理想の姫なんて夢は捨て去り、アッキー王子は げたんわ姫との結婚を決意した。
【めでたし めでたし】
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