16人が本棚に入れています
本棚に追加
村の少年アッキーは、鬼退治に出掛けた。
平和を脅かす鬼たちに情けなど不要。完膚なきまで叩き潰すと心に誓う。しかし、一人では戦力面に不安が残る。
「仲間が欲しいな。でも、人を雇う金なんて無いし、あるのはキビダンゴだけ……そうだ!」
人間はダメでも、動物なら仲間になってくれるはず。そう考えたアッキーは、犬や猿など手頃な動物を探した。しかし、見つかったのは行き倒れていたタコだけだ。
「タコか……仲間にするかどうかは別として、水を与えてやろう」
「ありがとうございます、生き返りました。塩水じゃないのが不満ですが、まあまあ美味しい水でしたよ」
言い回しがイラっとする。
「えっ、仲間になって欲しいのですか?」
まだ、何も言ってない。
「分かりました。その袋の中に入っている、イカリングをくれるのならば仲間になりましょう」
イカリングなど入っていない。そんなものを入れてたら油でベトベトになってしまう。
「袋の中身はキビダンゴだよ」
「知ってますよ。ちょっと言ってみただけです。アハハハハ……」
鬼に対して以上に、タコへの殺意が芽生えた。
「タコが仲間に加わった」
自分で言うな。
そもそも、仲間にするとは言ってない。
「さあ、竜宮城へ行きましょう」
それは違う話だ。
……
……
その後もタコに振り回され、色々とやる気が無くなる。
アッキーは鬼退治を諦めて家に帰った。
【めでたし めでたし】
最初のコメントを投稿しよう!