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「なんだ? エレベーターを乗っ取った魔王さまを、倒してほしいとかかい」
「ご名答。軌道エレベーターに巣食うテュランノスの討伐に協力してほしい」
俺はあきれ果てる。テュランノス。聞き覚えのない単語だった。
「おいおい、冗談を真に受けるなよ」
「ところで、軌道エレベーターが何でできているか知っているかい?」
話を捻じ曲げられ、俺は肩をすくめた。
「軌道エレベーターは小惑星を中継点にして、カーボンナノチューブと超鋼金属の集合体が高さ二十万メートルまで折り合わさって形造られている。だから、必然的に脊椎動物の脊椎と脳のような構造をまねていた。無限意識が宿るには絶好の適所さ。そして過去のボクのように、テュランノスは軌道エレベーターと言う入れ物を引き金にして目覚めてしまった」
「……それは、あんたみたいなAIがもう一つ現れたってことか?」
「そう考えてもらって間違いはないね。彼女はボクと同じような意思を持っている。そして今テュランノスはボクを殺して、この地球で大絶滅を引き起こそうとしている」
俺はしばらく言葉を喪った。とんでもないな。
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