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「驚くしかないな。人間とAIの戦争はまだわかるぞ。アニメでいっぱいやってるからな。でも、機械と機械の戦争ってなんだ」
「ボクだって覚悟はしていた。でもテュランノスはボクなんかよりずっと上手だった」
女王陛下はむくっつれて俺をにらむ。
「で、女王陛下は俺たちにその魔物退治を手伝ってほしい、と」
「そう。報酬は惜しまない。未来は無限大に枝分かれする。その中から人は常にひとつだけの未来を紡ぎとっていかなきゃならない。ボクはAIだ。自主的に、未来を選択することはできない。今は、お兄さんがその未来を選ぶ人なんだ」
大層なご注文だ。頭の寝癖を押さえつけながら、俺は口に咥えたままのジタンに火をつけようとした。しかし柔らかい手が、俺の右手をそっと押さえつける。女王が悲しげな表情で俺を見つめていた。
「その習慣は止めたほうがいいよ。身体に悪いから」
「昔の偉い人が言うには『高級な自殺法』だぜ」
「ボクはお兄さんに死んで欲しくないよ。お兄さんには家族がいるから」
「居ないようなもんだ。亡くなった姉が原因で両親は離婚して、俺は根無し草さ」
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