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俺の双子の姉は、心疾患により四歳の誕生日を迎えることなく、死んだ。生体工学の研究者である父は、あろうことか姉の遺体を研究材料として、勝手に処理しやがった。俺は、唯一の姉をホルマリン着けにした父がどうしても許せなくて、中学生の頃に父親と大喧嘩をやった。その結果として家を追い出されちまった。でもまあ人生ってのは『そういうものだ』。
ジタンは諦める。ひとつ息をついて、俺は伝えた。
「話を戻す。仕事の件は今しばらく考えさせてくれ」
「そうか。お兄さんは、引き受けてくれないみたいだ」
女王は憂いと悩みを顔に浮かべて言う。俺は手を振り修正する。
「保留だ。俺は女の子の必死な頼みを断るほど、まだ捻じ曲がっちゃない。でも、いきなり世界を救えと言われて、即決できるアホがいるかい」
「事態は一刻を争うんだ。よい返事を待っている」
くるりと振り向き、女王は部屋のドアノブに手をかける。
「おやすみ女王陛下」
俺はどこか寂しそうな背中に声をかけた。女王はドアを静かに閉める。廊下から遠ざかる足音は聞こえない。きっと女王は『なにか』に姿を変えたのだろう。
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