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翌日。
高専の作業着を羽織った俺と龍子は、再び仕事場へと向かっていった。
その先にそびえたつのは途方もなく高く、大きな軌道エレベーターだ。女王は宇宙を目指している。が、宇宙を目指す理由がなんなのかは誰も知らなかった。
「みつきは保留するんだ。ふーん」
道すがら、俺は女王の話をかいつまんで龍子に説明していた。
「おまえはどうすんだよ」
「わたしは女王についてくしかないね」
龍子らしくない言葉を聞いて、俺は思わず振り向いた。
「意外だな」
「だって、そうしないと女王の世界は壊れるんでしょ。やるっきゃないと」
「そりゃそうだが、いきなり言われても、踏ん切りつかねえよ」
ラームは宿からそれほど遠い場所じゃない入り江に仮置きされている。島の波止場を通り過ぎ、入り江にたどり着く。入り江の裏には森を挟んで集落があった。
「まあ、今は仕事だ。今回の目的はラームの頂上だ」
「ほーんと、でかくてよくわからないロボットだね」
俺たちはラームの全体像を見上げながら言った。全長500m 幅奥行き100mの巨大ロボットは、六角柱のボディに三つの脚と三つの腕を持っている。
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