第一章

15/38
前へ
/171ページ
次へ
 そこで、俺とカッサードの意識接続が、切れた。  暗い。  目が覚めても、意識は霞んでいた。ソウルサーキットに、十分な電力が回っていない。このままだと、俺は救いを待ちながら電力が切れるのを待つしかない。  一体何が起こったっていうんだ? ラームが突然俺を、それで……だめだ、考えられない。意識が消えてゆく。龍子、ソ連ロボットが俺をふきとばして……もういしきがき、えて、なにも、わから……  最期の寸前だった。カッサードの頬に、柔らかい何かが触れた。  束の間のラグを置いて、カッサードの電源は回復し始める。五感が蘇えり、ビジョンモニターに景色が映る。  まず、目の前にあったのは、俺をのぞき込む女王陛下の顔だった。真っ赤に染まったその頬と、唇から洩れる安堵の吐息。 「あ、あんた今、俺の頬に何を」 「言わないし、言わないで」  女王は口に手を当てて言う。……機械にも、恥ずかしさがあるのだろうかね。  時刻を確かめた俺は、ソウルサーキットの中で悪態をついた。ちくしょう、一時間も気絶してたのか。龍子はどうなった? はやく助けないと。いや、それよりも……まずは現状の把握だな。俺は女王に問いかけた。
/171ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加