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「さっき、俺はあのロボットに千六百文パンチされたんだが、何が起きてる」
「テュランノスが攻撃を開始した。ラームのAIを我が物にしようとしている」
森の隙間から時折、鈍い振動と、木々がなぎ倒される音が伝わってくる。奴は島の集落に向かっているらしい。
「でもな、カッサードの関節がひん曲がっちまってる。俺にはどうすることもできないぜ」
俺は、逆方向に曲がった左脚を右アームで指し示す。すると、女王はひとつ咳を払ってから、指を鳴らした。すると、森の奥から、一体の召使ロボットが現れる。召使ロボットは首なしのボディから、ひょろ長い四肢を生やした、無機質な姿をしていた。そんな彼は胸に、人間そっくりの人形を抱えている。それは、今まで見たことが無いほど精巧な、『女性型』アンドロイドだった。オレンジがかった長い髪は、白い肌と紅の制服に映える。その真っ赤な制服とスカートは、黒いポケットと金色の縁取りが施された豪華なものだ。瞼を閉じたままの美貌は、凛として精巧な彫刻のようだった。
おい。まさか。……それを俺に?
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