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「お、おいまさか」
「そのまさかだよ。カッサードの代わりにこの娘をつかって、ラームを止めてよ。このまま暴走させれば集落がどうなるかわからない」
俺は女王陛下に不満をぶちまけた。
「ちょっと待った! 俺に女になれっていうのか、あんたは!」
「待った待ったじゃ、日が暮れる。今のピンチに男も女もないでしょ。さっさとこの美人にジャックインして世界を救ってよ」
女王に似た顔立ちのアンドロイドは、確かに言いようもなく美人だった。ただし制服のトップは、詰襟の紅い制服に派手なマント。ボトムズは短いスカートの下にニーソックスと来た。これが、俺の身体になるだって? 冗談じゃない! ……ホントに冗談じゃないんだよなコレ。……ああもう!
カッサードの右腕で、アンドロイドの右手を握る。本当に人間と変わらない肌触り。これが俺になる。嫌だよそりゃ。でもさ、龍子を見殺しにしてラームを放置するより、ずっといい。俺は、観念した。
「あーもうどうにでもなれってんだ! ジャック、イン!」
カッサードを棄てて、俺は女アンドロイドへ没入した。自我がいったん解体され、新たなソウルサーキットへと吸い込まれてゆく。
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