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「四の五の言わない。ミツキはまだ未完成だけれど、あなた好みのカスタマイズは済ませてある。レーザードライバーにナックルハンマー(釘打ち)、両手付け根には、スプリングワイヤーが十本仕込んである」
太ももに括り付けられたホルスターから、ミツキのレーザーカッターを引き抜いてみる。でかくて重い。元になった拳銃は、日本じゃまだマイナーな『ウィルディマグナム』だった。強力なマグナム弾仕様のレーザーカッターは、戦車を軽く貫通する威力を持っている。それでも一応工具だ。一応。シルバー仕上げがいやにまぶしい。
弾倉を確認して、あたしは安全装置を外す。未完成でも両脚はあるんだ、やってやるさ。もー、ヤケってやつだよ! クールな声で、女王はあたしに下命する。
「頼むよ。My Hieratic」
こうなっちまったら仕方ないんだ。ミツキは敬礼の真似事で応えた。
「roger! My Lord!」
あたしは踵を返し地面を蹴り上げた。ミツキが百メートルほど舞い上がる。すごいパワーだ……! ラームが暴れ始めている光景が、森の奥に見えた。ミツキは二度、三度と跳躍を繰り返し、その方角へと近づいてゆく。
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