第一章

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それを月から眺めて、悪魔のような赤い怪物が高笑いを始める。悪魔? 月? 白昼夢のような光景はすぐ消えて、ラームの巨体が再び目に入る。 「何だ。こんなビジョンを混線させたことは一度もないぞ」  我に返った時。ラームは腕を振り回し、木々をなぎ倒し始めた。 「みんながライカをできそこない扱いする。みんな嫌いだ!」  豹変したラームは、あたしに向かってその腕を叩き付けてくる。今まで大人しかったのに、いきなりなんだ!? 「お前らが死ねば、空は降ってくる。だから処分する」 「処分だって? まだこのボディは、新品だぜ!」  アームを避けながら、あたしは減らず口を叩く。その時、龍子の通信が割り込んできた。 「ミツキ! 聞こえる? 軌道エレベーターから、強力な電波が発信されてる! それがラームのAIに働きかけてるんだ!、」  軌道エレベーターはまだ、異様な光を放っている。テュランノスとやらの仕業か? 「じゃあAIを止めるか、電波を止めるか、か」 「電波は阻止できないよ。AIを壊すしかない」  龍子の冷静な助言に、あたしは首を振る。 「いいや、じゃあ頭頂部からAIコアを取り出そう。我ながらいい案だ」
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