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それを月から眺めて、悪魔のような赤い怪物が高笑いを始める。悪魔? 月? 白昼夢のような光景はすぐ消えて、ラームの巨体が再び目に入る。
「何だ。こんなビジョンを混線させたことは一度もないぞ」
我に返った時。ラームは腕を振り回し、木々をなぎ倒し始めた。
「みんながライカをできそこない扱いする。みんな嫌いだ!」
豹変したラームは、あたしに向かってその腕を叩き付けてくる。今まで大人しかったのに、いきなりなんだ!?
「お前らが死ねば、空は降ってくる。だから処分する」
「処分だって? まだこのボディは、新品だぜ!」
アームを避けながら、あたしは減らず口を叩く。その時、龍子の通信が割り込んできた。
「ミツキ! 聞こえる? 軌道エレベーターから、強力な電波が発信されてる! それがラームのAIに働きかけてるんだ!、」
軌道エレベーターはまだ、異様な光を放っている。テュランノスとやらの仕業か?
「じゃあAIを止めるか、電波を止めるか、か」
「電波は阻止できないよ。AIを壊すしかない」
龍子の冷静な助言に、あたしは首を振る。
「いいや、じゃあ頭頂部からAIコアを取り出そう。我ながらいい案だ」
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