第一章

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二百体のガードロボはあたし目がけて、狭い通路をごりごり削って迫りくる。 「どきやがれ能無しっ、邪魔だっ!」  行き止まりを背にして、あたしはレーザーカッターを適当に連射した。ただ、この数はさばききれない。それにラームは腕を激しく揺すぶって、あたしを落っことそうとしている。このままじゃあじり貧だな……なら、偽物使いのサーカスを、ご覧に入れてやるよ! あたしは、スプリングワイヤーを四方八方に突き刺して、賭けに出た。  動きを止めたミツキへ、ガードロボの大群はあっという間に殺到する。うち一台の右フックがミツキの頭部をふっ飛ばした。頭が取れたミツキは沈黙し、静寂が訪れる。 「あたまがとれた。あたまが。ああ。こ、ころしちゃったですか?」  とライカ。ライカの動揺に影響されて、ガードロボまで動きを止める。あたしはソウルサーキットの中で笑った。これを待ってたんだよ。  ミツキは、通路に張り巡らせたワイヤーを思い切り引っ張った。無数のワイヤーはいくつかのロボの両足を絡め取り、転倒させる。傾いた通路に密集していたロボは、連鎖してドミノ倒しを起こし始めた。
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