第一章

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ガードロボの群れは、雪崩のごとく通路から滑り落ちて、眼下の海へとどぼどぼ落ちてゆく。更に、いくつかのガードロボはラームの歯車に挟まって、腕部の動きを止めてしまう。 「もう降散だな、ライカちゃん」  取れた頭を首へ戻し、ネジのように右回転させると、ミツキは元通りになる。  ミツキのソウルサーキットが、カッサードと同じく胸部にあってよかった。これでライカの対抗手段は、ないに等しい。あとは、頭頂部のAIハッチを開けて、コアを抜き出すだけさ。ちょっと油断して、ラームの天頂を見上げた時だった。爆風の衝撃波が、横殴りに襲ってきた。ラームの外装が爆発で次々にはじけ飛んでくる。 「なっ、自爆だと?」 あたしはワイヤーを蜘蛛の巣のように張って、外壁を阻んだ。だけど、火の手があちこちから出始めている! たちまち、ラームは炎上し始めた。 「たすけて! たすけてよう!」  炎に包まれるライカの泣き声が届く。この爆発は、彼女の意志じゃない。なら、あたしのやることは、一つだけしかないな! 考える間もなく、あたしはワイヤーを手繰って、ラームを再び上り始めた。
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