第一章

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「ま、この仕事が終わったら飼えるさ。なにせ、このバイトの報酬は五百万だぜ」 「みつきもどう? 動物を飼うのはステイタスだからねー」  ぽわぽわした声で龍子は言う。俺はまんじりと答えた。 「俺はパス」 「つれないなー」 「家出で一人暮らしの身だからな俺は。で、明日までに手順を覚えておいてくれよ」 「うん。みつきが取り外すラームAIを、わたしが調整すればいいんだね。たのむよ、偽物使い(dammiy hieratic)さん」  ちなみに、俺の持っている資格はアンドロイド操縦免許、通称ダミーヒエラティック。俺も俺で、割と希少価値は高いほう。マニアック過ぎる資格と言う意味でな。しっかしどうして女王はこんな色物を集めたのか。女王の顔を思いだした。  惹かれざるを得ない笑顔。真っ白な裸足。反り返る瑞々しい肢体。灰色の長髪に、紫の瞳。まだ、女王との出会いが脳裏に焼き付いていた。  部屋に入ってすぐ、俺は愛機のチェックを始める。  明日修理するラームAIは頭頂部に収められている。ただし、エレベーターは胸部までしか通じていない。だからこそ俺のようなアンドロイド操縦者が必要になるわけだ。
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