6人が本棚に入れています
本棚に追加
ぼくが指を鳴らすのに合わせて、二人が目を剥き、口を大きく開けていく。
ぼくは気をよくして、オマケに指を鳴らす。
パチンパチンパチンパチン。
夕暮れの空に、ひゅーっと光の線が登り、轟音と共に弾ける。光の粒が拡がって巨大な花を咲かせる。ドーン、ドーンと夏の象徴がその存在を響かせた。突如として現れた花火に、男子が目を丸くし、思わず言葉がこぼれたといった感じで、「なんだよこれ、すげーな!」と口にし、視線を移して女子に同意を求めた。
だけどベンチにはもう、ぼくと男子の二人しかいない。
夏なのだから、怖い話もあった方がいい。
パチン。
(了)
最初のコメントを投稿しよう!