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第一夜
こんな夢を見た
私は夜道を一人で歩いている。夜道は木々に囲まれており月の明かりも通さず、ただただ暗闇であった。
その暗闇は目には見えない何者かを匿ってるようでもあって、或いは何者かを吸い込もうとしているようでもあった。
暗闇を歩くなか、私は道の先に光を見つけた。そのせいだろうか、私は心なしか足を早めて道を更に進んだ。
道の先には大きな門とその脇に松明、そして門番であろう二人の男が門の前に立っていた。
おかしい。私はここに来たことがある。そんな気がしてならないのに、男の顔も、声も、そしてどうして私はここに来たのか、その何もかもを思い出せなかったのだ。
通れ、と片方の男は言い、二人は門を開けようとした。
いやそれはよくない。
私はその門をくぐってはいけないと思った。
やはりもとの道を帰ることにする、声が声にならず、体も動かすことができずに不安のあまり私は目をつむった。
恐る恐る眼を開き門の向こうが見えたとき、私はようやくすべてを理解した。
いや、思い出したといったほうがいいかもしれない。
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