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第二夜
こんな夢を見た
吸い込まれてしまいそうになるほど白く透き通った顔からは何も感じることができず、ただあかぎれが痛い手を堪えて濡らした布巾を絞り、あなたのその白い額に乗せる。
もう何度繰り返したかはわからないがそんなことはどうでも良くて、ただそれを繰り返す。
あなたはその白い顔でありがとう、ありがとうとただうめいて、また私の心を揺らして、私はひどく恨めしく思った。
それはもちろん、あなたのために私の体調を悪くしてしまったというようなことではなく、ただあなたにこれほどのことしかしてやれない、薬を飲ませたり町の医者にみせたり、そんなことをする余裕もない、そんな私の無力さが恨めしい。
そしてそれを責めることもせず、ただあなたがありがとうと言ってくれるから尚更恨めしい。
そうして私はいつの間にか赤くなった布巾を今日もあなたの額にのせるのだ。
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