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第1章 偽り
「ね、なんであんたっていつもいつも、嘘つくの?」
母は、事あるごとにそう私に問う。
事あるごとに、と言うのは文字通り私が嘘をついた時だ。嘘をつく、その行為が良くない物ではないことは、私だって知っている。
と言うか、私が一番知っている。
いつからこの「癖」が身に染みてしまったのか、そんなことわからないし、深く考えたことは、ない。そんな私自身が、きっと1番悪いんだな…なんて、よく考えてみたりもしたり。
罪の意識があるから、幾らでも改善は出来るはずなのに。
なんでだろう、この癖はなかなか直せない。
だから。
「うん…ごめんなさい」
そう、返すしか出来なくなってしまう。
あーあ。
本当に嫌だ。
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