1・龍王と翡翠

3/10
前へ
/151ページ
次へ
ある日宮殿に一人の巫女が連れて来られた。 巫女の顔合わせという事で何も知らず、人間界から連れて来られた少女。 しばらくの間、宮殿で暮らす事になった。 前にも何人もの巫女という人間が連れて来られていた。 ・・・またか・・・ 前王の側近たちも今の地位に固執していた。 強い遺伝子を持つ私の子の後継人。 父が亡くなった後を見越しての行動だった。 どうやっても、そいつらは早く子供が欲しいらしい。 私の龍王として血を持った、次の龍王の誕生がお望みらしい。 私は本当にこいつらの人形だな。 人間を蔑みの目で見ていた取り巻きたち。 その少女にも、いつものように酷い態度で扱った。 それは寒い日の事だった。 私は何気なく窓の外を見た。 空からチラチラと降り始めた物。 雪か・・・。 外の風景はすでに、白一色に染まり始めていた。
/151ページ

最初のコメントを投稿しよう!

88人が本棚に入れています
本棚に追加