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「これで文句はないだろ。
ここが綺麗に片付けばいいんだろ?」
私は驚いた瞳で見つめる少女に問いかける。
・・・この人は私を助けてくれたんだ
怖い顔してるけど、ほんとは優しい人なんだ・・・
ゆっくりと建物の方へ移動する2人。
少し後ろを歩く彼女。
「ありがとうございます。」
礼の言葉に振り向く。
そこには感謝と共にくれた満身の笑顔があった。
その笑顔を初めて見た私。
自分自身の身体の、急激な熱の上昇に戸惑った。
激しい鼓動が耳にうるさく響く。
その笑顔は今まで生きてきた中で、一番の輝きに見えた。
身体の全てから力が溢れ出す感覚。
生まれて初めて胸が締め付けられるような痛みだった。
感謝の言葉を聞きながら、私は一度離した右手で抱きよせた。
その少女の名はスー。
本当の名前はあるのだが、それは決して明かされる事はない。
命の名前、本当の言の葉で付けられた名前。
それを教える事はその人の命を捧げる事に繋がるのだ。
命の名前で命令されれば、その者を意のままにする事が出来るのだ。
それだけ名前はとても大事な物だった。
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