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スーはあれ以来よく笑うようになった。
相変わらずあいつらからの嫌がらせは続いていたが、いつも私には笑顔を見せてくれた。
その笑顔を見る度に優しく穏やかな、そして熱い思いが心を占める様になった。
愛おしい。
甘い愛情。
独占欲。
激しい愛欲。
束縛。
あの頃愛らしく、私の側で無邪気に甘えていたスー。
あの頃は本当に子供だった。
私の大人の欲望など、白い純粋なままの彼女の前では全て浄化された。
曇りのない笑顔で笑ってくれていた。
くるくる変わる表情が私の心をとらえて離さなかった。
彼女の成長した姿はさぞ美しく光輝き、周りの人を惹きつける事だろう。
感情の起伏をほとんど表に現さない龍族。
私の中に初めて・・・愛しい・・・という感情がある事を彼女は教えてくれた。
人間の様な温かい感情。
ずっと見ていたい。
いや、ずっと側におきたい。
龍王の巫女という絆に、繋がりに、未来をも含んだ束縛に私は感謝していた。
誰にも渡さない。
今も未来も、彼女とともに、ありのままでいたい。
そう望んだ日々。
親子でも友達でも恋人でもない関係。
そんな曖昧な甘い、そして信頼で繋げられた関係。
いつか彼女が大人になって、私を受け入れる日を待つ時間。
とても優しく、切なく、大切な時間。
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