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「あの……」
「?」
「重そうですね。良かったらお手伝いしましょうか?」
「あらあら、えらいすんません。でも大丈夫ですきに。うちはすぐそこやし、これっぱぁな事自分でせにゃやってけんでね」
にこやかに断ったお婆ちゃんは、ぺこりと頭を下げるとそのまま歩いて行ってしまった。
きっとお婆ちゃんはあの沢山の山菜も自分で山に入って採ってきたに違いない。
それは生きる為に必要で、やらなきゃいけないことなんだよね……。
そう思いながらお婆ちゃんを見送っていると、視界の端に民家の軒先でザルと新聞紙を広げている別のお婆ちゃんを見かけた。
そこに採った山菜を綺麗に広げて天日干ししているようだった。見れば、大根を屋根の下に干していたりもする。
せっせと作業しているそのお婆ちゃんの所へ、ご近所のお婆ちゃんがお皿を持って現れた。
「石本さん、おるかよ~?」
「は~い。今庭におるき、回ってきぃや」
のんびりとした口調で、玄関先から声をかけるお婆ちゃんに、それまで軒先にいたお婆ちゃんがそう声をかけると、お皿を持ったお婆ちゃんが庭先に回ってきた。
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