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だからと言ってこんなに暑いんじゃ、幾ら妖怪だとは言え日中うろうろするのは考えにくいよね……。人間だってこんなギラギラした暑さの中動くのは嫌だと思うもの。
「夜、また出直そうかな……」
そう呟いた時、手に持っていたお茶がボトッと足元に落ちた。
「うわっ! ぼーっとしてたから手を滑らせちゃった!」
地面に落ちて染みを作ったお茶を見て、はぁっとため息を吐く。
神聖な場所を汚しちゃったよ……。こういう時はどうしたらいいんだろう? 神主さんとかがいるようにも見えないから、聞くことも出来ないし……。とりあえずペットボトルは拾っておかなきゃ。
そう思って落ちたペットボトルに手を伸ばすと、逃げるようにコロコロと転がった。
「……?」
一瞬風のせいかと思って追いかけてまた手を伸ばすと、またコロコロ……。
……変だ。今風吹いてないし、風を起こすような大きな動きなんてしてない。
「……」
私がまた一歩足を踏み出してペットボトルに近づくと、今度はまるで自分の意志があるかのようにコロコロコロコローっと中に残ってたお茶を振り撒きながら勢いよく転がっていく。
「えっ!? ちょっ、嘘でしょ?!」
あまりに勢いよく神社の参道を跨いで、私のいる場所から真逆の方向へ転がって行ってしまった事に驚きを隠せない。
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