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市内から真っ直ぐに西へ。
高速に乗った方が早いのは分かってるんだけど、時間もたっぷりあることだし下道をのんびり走って行こうと思う。
ナビに従ってどこを曲がるわけでもなく33号線を道なりに突き進み、そのまま439号線に乗り入れる。
市内から車を走らせて一時間足らずで、左手に噂の仁淀川が姿を現した。
「へぇ。噂通り綺麗な川だなぁ。ここでこれだけ綺麗なんだから、上流に行ったらもっと綺麗なのかも」
車を運転しながらチラリと見た仁淀川はとても大きい。
天気も良いせいか、水面はキラキラしていて清流と言われるのも頷けるほど綺麗だった。
私はそのまま左手に川を見ながら上流へと車を走らせる。
山道は慣れないけれど、車通りもそんなに多くは無いしのんびり構えて運転できるのはとてもありがたかった。
右手に山、左手に川。道路はとても綺麗に舗装されていて走り易いけど、民家はともかく店はなかなかに見つからない。ついでに言えば信号もほとんどない。ほぼノンストップ走行だ。
「やっぱり田舎よねぇ。やっと見つけた食事処も運悪くお休みっぽかったし、あらかじめ市内で飲物と食べ物を買ってきておいて正解だったな」
途中、川沿いに車を停めて菓子パンとコーヒーで空腹のお腹を満たすと、暑いのを覚悟で外に出てガードレール越しに川を覗き込んだ。
「凄い! ほんとに透明度高いんだぁ! めっちゃくちゃ綺麗~!」
ここからでも分かるくらい透明度が高くて、川底がハッキリ見える。水は本当に青くて驚くほど清らか。冷たくて気持ちよさそう!
下に降りてみようと思い、キョロキョロと周りを見てもここからは下に降りられそうな場所が見つからない。
残念……。でも、空気は市内にいる時よりも澄んでいて美味しい。それに少しは避暑地になってる。
だからと言って日差しの厳しさも、蝉の声も五月蠅い事に変わりはない。
「あ~~~っつい! ダメだ。早く宿に行こうっと」
あまりの暑さに、急いで冷房の効いた車に駆け込んだ。
私はぬるくなったコーヒーを口に含んでから、宿を目指して再び車を走らせた。
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