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ユウタと
「なあ」
と、ユウタはハヤタに声をかけた。
母はキッチンで片づけをしていて、父は風呂に入っている。リビングにいるのはユウタとハヤタ、そしてドペタだけだ。
ユウタは深妙な顔をしてドペタを見ていた。
「ユウタ? どうした?」
「いや、ドペタってさ。お前のドッペルゲンガーだよな」
「は? だからユウタに譲るって言ってんじゃん」
「そういうことじゃなくてさ」
「じゃあ、どういうことだよ?」
「いや、いくら俺たちが双子で似てるっても、毎日顔合わせてんだぜ。ドペタの顔が自分のかハヤタのかはわかるよ」
「……ユウタ、何言ってんの?」
ハヤタの視線が天井に向いて泳ぐ。
「ハヤタは、何か悩んでんの? 死にたいとか、そんなこと思ってんの?」
ユウタの言葉がハヤタを追及している。
ドペタは……。
フッと、空気に溶けるようにして……。
「「あ、ドペタ気まずくなって逃げやがったッ」」
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