花火大会

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「何でそんなに見るの?」 そういう彼女とは出会ってまだ数ヶ月。 それは本当に一目惚れだった。 今年の夏の始まりは、いつもと違い雨も少なく、いきなり盛夏と言うほどに暑くなり、仕事帰りによく居酒屋によって食事がてらビールを飲んで帰る日々が続いていた。 「いらっしゃいませー」 仕事帰りにいつものように店に行くと、大将や女将さんの声ではなく、知らない女性の声。 バイトでも雇ったのかな?とカウンターに座り、「ビール」と言っておしぼりで手を拭き、ネタケースを見て注文する。 大抵、その日のおすすめの刺し盛りと、ポテトサラダ。 「お待たせしましたー」と明るい声で言われ、ふと視線をあげると、にこやかに注文したものをテーブルに置いてくれる彼女と目が合った。 ヤバッ! めっちゃタイプ! 自分より少し年上かなと思う位で、特に美人という訳でも、スタイルがいい訳でもない人だったが、その笑顔に一目惚れしてしまったのだろう……と今では思う。
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