思い出の額縁

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私は何枚か写真を撮ると、近くの斜面に腰を下ろした。ここからは視界いっぱいに向日葵畑が広がり、とても眩しく感じられる。 たまには、田舎も悪くないなと思った。 遠くをぼんやりと眺める。たくさんの緑がグラデーションを奏でる山や、それに影を落とす雲、澄み渡るような青に目がくらむ。 忙しく鳴き続ける蝉の声、風によって優しく擦れる木の葉の音。それだけが私の聴覚を刺激した。 ここに溢れる夏は私がここに来た意味を教えてくれた。 あの時のように今、この向日葵たちの間から少女が飛び出して来てはくれないかと思った。
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