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「……う、……うぅ……」
抱えて寝ていた布団の中がウヨウヨと動き出した。
「う……うぅ……」
泣き声が近づいてくる。布団の膨らみも徐々に私の顔へと近づいてくる。
夢なのか現実なのか、境が分からない。だが、【目が覚めた】のは確か。
現実、夢、現実──
混乱する頭。近づく泣き声。膨らみが増す布団。
怖くなり、私は布団を押し潰した。力いっぱい、布団がぺしゃんこになるまで。
「……今のは、一体──?」
完全に目覚めた私は布団を捲った。だが、そこには何も無かった。黒いモヤの正体は何だったのか分からない。
現実になったのは、老婆が教えてくれたことだけ。
『あれには気をつけなさい。【現実】まで追いかけてくるから』
皆さんも黒いモヤを夢の中で見たら、お気をつけください。
現実まで追いかけてきますから……
夢の続きは現実で【完】
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