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だが、俺みたいなキモい系のオタクと彼女では、付き合うなど夢また夢、同じ職場に居ながらも、話すらままならない状態なのだ。叶わぬ思いと知りながらも、恋慕だけが俺の心に積もって行く。
思うだけならタダだと思いながら、片思いをあたためてきたのだけど、今日、俺に魔が差した。
彼女の部屋の鍵を手に入れた。
明日は俺は休みで、彼女は出勤の日。
こんなチャンスを逃す手はないだろう。
こういうのをストーカーっていうんだろうなあ。
でも、俺は彼女のことを知らなさすぎる。
彼女のフルネームと、こっそり手に入れた鍵と住所。
俺は、朝、彼女が部屋から出るのを見計らって、時間をずらして彼女の部屋に合鍵を使って、難なく侵入できた。
ああ、彼女の匂いでいっぱいだ。
部屋の空気を思いっきり吸い込む。
小奇麗に片付いたキッチン、女の子らしく、甘いピンクのカーテン。
そして、白く清潔なベッド。
俺は、そのベッドに思いっきりダイブした。
そして、枕の匂いを嗅ぐ。とてもいい匂いだ。
ああ、この枕にあの可愛らしい頭をいつも乗せて寝ているのか。
その時、不意に、ブンっという低い音がして、俺は驚いてベッドから飛び降りた。
どうやらクローゼットからその音がしているようだ。
どこかで聞いたような、重低音。これは、きっと冷蔵庫だ。
俺は、おもむろにクローゼットを開けた。
そこには、巨大な白い冷蔵庫が押し込められていた。
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