合鍵

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合鍵

休憩室の机の上には、無防備なピンクの可愛いバッグが口をぽっかりと開けて置いてある。 俺は、その持ち主が誰なのかを知っているので、ドキドキしながらあたりを見回した。 誰も居ない。 俺は、恐る恐る、そのバッグの口から手を入れて、彼女の私物を出してみる。 小さな手鏡、化粧ポーチ、スマートフォン。 特に、スマートフォンには興味があり、電源を入れてみたものの、当然ロックがかかっていた。 あきらめてそれをバッグに戻すと、手にチャリという音とともに鍵の束が触れた。 俺は、そのカギをポケットに収めると、すぐさま近くのホームセンターへと向かい、合鍵を作り、彼女のバッグにこっそりと戻しておいた。 彼女のシフトが終わり、俺と入れ替わりに、彼女とその同僚の女性達が休憩室になだれこんできた。 「あー、美咲!またバッグ置きっぱなしだよー。不用心ねえ。」 「あ、本当だ。いっけなーい。」 本当に、君は、不用心で天真爛漫でかわいい人だ、美咲。 半年前に、彼女がパートとしてこの店に働きだしてからずっと俺は心を奪われている。     
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