優しいあなたを。

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教室で、わたしはイヤホンを付けながら、 好きな詩集を眺める。 ああ、この瞬間がとても好き。 イヤホンから聞こえてくるオルゴールの癒される音楽が 心地いい。 そんなときだった。 そばで、おしくらまんじゅうをしていた 男子の1人が押された瞬間、わたしの座っているほうに 思いっきり倒れ込んだ。 わたしは窓側の席だったのだが、 驚いて、思いっきりひじを、 窓のレール部分にぶつけてしまった。 「宮野さん大丈夫!?」 倒れ込んできたクラスメイトの、大村くんがひどく心配した様子でこちらをみる。 わたしのひじからは 少し出血していた。 「わたしは大丈夫だけど、大村くんこそ 大丈夫?」 大村くんこそ、ひどくいたそう。 わたしは心配になった。 「俺は全然大丈夫! それより保健室いこう!」 大村くんがわたしを支えてくれた。 わたしより、大村くんのほうが ズボンに穴が空いて、そこから血がでていて 痛そう。 「あ、あのわたしが連れていくよ逆に 大村くんのほうが その、 痛そうだよ?」 「大丈夫!こんなの叩きゃなおるさ!」 大村くんは豪快に、膝を叩いた。 いや、悪化してしまうよ… 「ほら、宮野さんまだ転校してきたばかりだし! 俺に保健室まで案内させて?」 眩しい笑顔を大村くんが向けてくれた。 なんて新鮮なかたなんだろう。 わたしはその優しさに甘えることにした。
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