優しいあなたを。

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「兄ちゃんは、ちょっと繊細な人で、人の痛みに敏感なんだ。それで、怪我人や体調不良だった生徒が逆に先生を心配して、痛みや、体調不良を忘れるといった感じなんだ。」 大村くんがそっと解説してくれた。 さすが優しい大村くんのお兄さんだけある。 手当の仕方は丁寧だし申し分ない。 そして、保健室にきた生徒は 痛みを忘れられるそうだ。 でもわたしは思った。 先生はどれだけみんなの痛みを 自分の痛みとして感じてきたのだろう。 先生の胸の痛みは相当ひどいんじゃないか。 「たける、これで大丈夫そうかな?」 大村くんの手当も終わったようだ。 「兄ちゃんありがとう!もう痛みもふっとんだよ」 「良かった、怪我には気を付けるんだよ? 2人とも。」 先生は優しい笑顔をわたしたちに向けた。 クールに見えていた先生の、 優しい笑顔 ギャップ萌えというものなのかな 完全にわたしの心をわしづかまれた。 わたし、先生を癒したい。 そう思った。 保健室からわたしと大村くんがでていく。 「ごめんね、宮野さん 兄ちゃん優しい人だから そして宮野さんも優しい人だから 兄ちゃんみて心を痛めるんじゃないかって」 だから女の先生が良いとゆっていたのか。 「ちなみに兄ちゃん」 え? 「甘いものすきだよ」 大村くんがくしゃっとわらった。 「兄ちゃんにクッキーとか作ってみたら喜ぶよ」 ニコニコしながら大村くんがゆう。 「そ、そんなんじゃ!」 「宮野さん分かりやすいから!」 わたしは耳まで熱くなる。 よし、 わたし頑張ってみたい。 傷でいっぱいになった先生の 心が癒えるように わたしが先生の心を少しでも手当できたらな。 「大村くんありがとう。」 「どういたしまして」 気のせいだろうか。 優しい笑顔の大村くんの目に そのとき キラキラ光るものが流れていた。
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