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 まぶしい日差しが肌を焼き付け、蝉の鳴き声が暑さをより誇張してくる。梅雨があけて日が長くなった。気温30度を平気で超えてくる毎日。 ーあぁ、今年もやってきた。5年前と同じ夏がー  藤堂 悠生は成長している。生まれたその瞬間から彼を構成する細胞は休むことを知らずに成長を続けている。しかし、5年前のあの日、真夏の日差しに照らされたあの日から同じ夏が繰り返されている。毎年夏になると体が5年前に戻り、いつの間にか川のせせらぎが聞こえる大自然の中で1人の少女と同じ夏を過ごす。  僕の夏はいつ終わるのだろうか、このまま一生終わらないのじゃないだろうか… ーさぁ、変わることの知らない夏を繰り返そうー
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