ACT22.許されぬ想い

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 忍に、太陽が自宅へやって来ることは断っておいた方がいいかと悩んだ。  しかし何と言って伝えるのだ。  結婚記念日用に作った料理が、忍が帰って来なくてダメになりそうだから太陽が食べにくる――そんな風に忍に言うつもりなのか?  結果、忍には言えなかった。また、夫に言えない秘密がひとつ増えてしまった。  太陽が絡むとロクな事にならない。忍への秘密が増えてしまうだけだ、と早紀はため息を吐いた。  しかし、自分が不安定で壊れそうな所を、太陽には何度も救ってもらった。その恩返しにステーキを振舞うだけだ、ただそれだけの事、と自分に言い聞かせた。それに、こんな事をわざわざ忍に報告する必要は無い。彼もいい気はしないだろう。  仕方なく、早紀は太陽にLineでメッセージを入れ、連絡した。 ――お疲れ様。今日の夕飯の事だけど、ホントに家に食べに来るの?  明日は、太陽がクライアントと打ち合わせがあるらしいと聞いている。願わくば残業になって、帰宅時間がずれてくれないか、と願った。  そうしたら、ステーキ弁当を明日作って持ってくる、というので手を打ってもらおうと思ったのだ。 ――当たり前だろ。ステーキ食べる為に仕事を片付けたからな。もう社ビル前で待ってるぞ。  太陽からLineメッセージが速攻で返ってきた。
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