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――わかった。すぐ行く。
早紀もそれだけメッセージを返し、TaiyoLoveのパスワード設定をされてしまったUSBをシャットダウンしたパソコンから抜き取り、鞄に入れた。
相変わらず最低なパスワードだと思う。どうせだったらShinobuLoveにしてくれれば良かったのに、と考えたが、それでは意味のないパスワードか、と思い直した。
おおよそ設定しそうにないパスワードだから、有効なのだ。これなら誰にも見破られることはないだろう。
急いで社外に出ると、既に携帯用灰皿を持ちながら煙草を吸う太陽がいた。どんな時でも煙草を吸うのだな、と早紀は思った。身体によくないから、喫煙は止めた方がいいのにとさえ思う。
しかし、彼は煙草がよく似合う。早紀は煙草は吸わないが、太陽から匂う煙草の香りは、悪くないと思った。セブンスターの香りは、早紀の心を落ち着かせる匂いになってしまった。
「あー、腹減ったなぁ。美味いステーキ食べさせてくれよ。楽しみにしてたんだ」
隙あらば断わろうと思っていたが、太陽の言葉で早速出鼻をくじかれてしまった。仕方なく並んで歩き、地下鉄の駅まで向かった。
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