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「あ、コレ、返しておくね。ありがとう」
昨日中に洗って丁寧にアイロンをかけた太陽から借りたハンカチを、早紀が彼に手渡した。
「これからは、汚れたらせめて洗濯してよね。アイロンかけろとは言わないから」
「早紀がやってくれ」
「はあっ? どうして私がやらなきゃいけないのよ。自分でやりなさいよ」
「そんなの、できねえよ。俺がマメに洗濯するような男に見えるか?」
「・・・・見えない」
「だろ? だから、頼むな」
「頼むと言われても、私は太陽の家政婦じゃないのよ。彼女にやってもらいなさいよ、早くいい女性(ひと)見つけてさぁ」
昨日は変な気分になったが、彼女話を持ち出しても胸中は穏やかだ。やはり昨日のモヤモヤは気のせいなのだ。こんな暴言吐き男にときめく筈がない。第一、自分が心より愛している男は、忍ただ一人なのだから。
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