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「余計なお世話だよ」
コツ、と強めにおでこを小突かれた。「つまらない話はもういい。さっさと行こうぜ」
「なっ、なによっ! 痛いじゃないのっ」
「無神経女」
ぼそっと低く呟かれた。あまりに低い声で、早紀はよく聞き取れなかった。
「えっ? 何? 聞こえないよ」
「なんでもねえよっ。ホラ、早く自宅に案内してくれ。昼飯抜いたんだ。飢え死にさせる気か」
「図々しすぎない? 昼食抜くとかさー」
「昼飯普通に食べていたら、早紀の料理が全部片付かないだろ。残さず食べるって、俺が言ったのを忘れたか? 作り置きしてるやつ、ひとつ残らず全部出せよ」
「あ・・・・りがと」
乱暴なのに優しくして、調子狂わせないでよ――不覚にもまた、太陽にときめいてしまう早紀だった。
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