ACT22.許されぬ想い

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 グリルがチーンと鳴り、ステーキの焼き上がりを知らせたが、早紀はそれに気が付かず熱っぽい視線を向け、黙ってぼんやりと太陽を見つめた。 「なあ。チーンて鳴ったから、出来上がったんじゃないか? 腹減ってるから、早くステーキ食べさせてくれよ」  太陽の言葉で我に返った早紀は、ぼんやりしてごめんね、すぐ用意するから、と慌ててごまかした。  一体何を考えているの――太陽に見えない所で自分の頬をピシャリと叩いて叱咤した。  忍を待つと決めた矢先に太陽に心を動かされ、不安定になってどうするのだ、と。  独身の同僚の男に、既婚者の自分が心を傾けてどうするのだ。一線を越えるつもりでいるのか。  間違いなどを起こして、忍を裏切ったり出来ない。もしそんな事をしてしまったら、自分で自分を赦せなくなる。  太陽と関わるのは、もうこれきりにしよう。二人きりで会ったりするのは、よそうと思った。  でないと、おかしくなる。忍を、待てなくなる。  このままだと、確実に太陽に惹かれてしまう。  そんな想いを持つことは、許されない。  大事な、忍がいるのに。  淋しさを紛らわす為の、ひと時の感情に惑わされてはいけない。
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