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「早紀」
「あ、しのぶっ・・・・」
「違うよ。ご主人様だよ、早紀」
「あ、ご・・・・ご主人さまっ・・・・」
恥ずかしくて思わず顔を反らしてしまった。
「こっち見て、早紀」
「や、もう・・・・ごめんなさいっ・・・・」更に顔を赤くさせて、俯いた。
「赦さない、って言ったら?」
「意地悪っ・・・・」
「ウソだよ。もう意地悪しないから」
恐る恐る顔を上げると、普段の笑顔の忍がそこにいるのが目に入った。
意地悪しない方の、忍だ。
「ごめん。ちょっと苛めすぎた?」
「・・・・もうっ、ご主人様のバカっ」
うっかりメイドになりきったままだった。早紀は慌てて、違うの、と首を振った。
「ふうん。なんだかんだ言っても、早紀だって愉しんでるみたいだし? 続きする?」
忍の指が早紀のうなじをなぞった。
「あのホラっ、もうすぐ日付変わっちゃうし、体力温存しなきゃ。・・・・その・・・・また続きは明日に・・・・」
「そうだね。いいよ。俺も明日合コンだし、体力温存しなきゃ」
「・・・・」
早紀が非常に悲しそうな顔をしたので、忍は慌ててフォローした。
「今、絶対に勘違いしたよね。あのさ、言っておくけど俺もいいオッサンで、もう若くないし、ちゃんと体力つけておかないとすぐに酔っぱらって倒れちゃうって意味で、他の女性とどうこうとか、そういうのじゃないから。早紀は本当に疑り深くて困ったな」
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