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おひとり様は、おひとり様同士で仲良くやっていればいい。
早紀は自分のデスクに着席して、パソコンを立ち上げた。整理されたデスクは、きちんとした彼女の性格を表している。
早速画面が映り、マウスを移動させて制作課チームの共有ファイル内に入った。田浦早紀のフォルダがあるのでそれをクリックし、太陽が既に用意したという原稿を確認した。
一番上にテキストメッセージが添えられている。
――クライアントの要望は白基調のもの、赤基調のもの、全二十種類オーダー。既にラフ画提案確認オーケー済、デザイン考案済。十五種類完成。残り五種類は夕方までに完全原稿に仕上げる。確認頼む――
用件のみのテキストメッセージだった。早紀はそのメッセージを読んで、広告のオーダー数について驚いた。二十種類の広告をたった三日で仕上げなければならないとなると、合コンどころではない。そんなものに参加していたら、確実に締切に間に合わないだろう。
そして、今日残業しろと言って来たのも納得だ。昨日時点ではまだ原稿が完成していなかっただろうから、昨日の残業は無かった訳だ。
太陽を始め制作部は、もしかしたら徹夜をしていたかもしれない。後でまた缶珈琲でも差し入れして、労っておこう。
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