ACT04.ひねくれ者

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 White1は本当に綺麗でよく出来ていた。修正する箇所は無かったので、そのままチェック完了とした。続いてRed1を見てみた。先程の白と対照的にモノクロに仕上がっていて、女性が一人、女性の象徴である大切な部分以外は大胆に全て曝け出し、何ともエロティックな仕上がりになっている。こちらを振り向いている女性の口元だけが、真っ赤に塗られていた。 ――灼熱の赤。貴方を魅了する。  これは赤い口紅の広告だ。キャッチフレーズも心を引き、仕上がりもゾクリとするほど妖艶で美しい。  ポスターにしても遜色無いだろう。  白が八枚、赤が七枚、原稿が完成していた。  パっと目を引くインパクトのあるものから、成分等細かい字で記載されたもの等、色々あった。  White1は先程チェック完了としたし、Red1も文字自体が少なく、修正する箇所等見当たらなかった。素晴らしい原稿の出来に、文句のつけようが無かった。  それからは就業前まで制作部が手掛けた原稿をチェックし、細々とした文字が記載されている、White2の補正を行って完成原稿としてチェック完了と付け足したデータを保存し、制作部共有ファイル内にある、刑部太陽のフォルダに入れ、内線を押した。 『はい、刑部』  徹夜でもしたのか寝不足の様で、かなり不機嫌で低い声が受話器から聞こえた。  まあ、これだけの原稿量を短い期間中に手掛けたのだ。徹夜でもしない限り、間に合わないだろう。
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